【相談事例】カーボンニュートラルに向けた工場への省エネアドバイス

相談事例(企業)
岩手県沿岸にある事業所の省エネ、節電相談の事例です。同社は省エネ法におけるエネルギー管理指定工場で、エネルギー管理統括者 及びエネルギー管理企画推進者を選任し、エネルギー使用実績の提出が求められる工場です。
相談内容
①空調設備の稼働率削減と加熱設備の放熱対策。
②電気代等エネルギーコストの上昇は製造原価に直結しており、エネルギーコストが安くなる方法を模索している。
③空調にLPG(GAS)GHPを使用中で、故障等メンテナンス対応に手間がかかる。タイミングを見て電動ヒートポンプ化を検討中。
既に着手したエネルギー対策
- PV(太陽光発電)を8月に自社事業として、1,100kW設置。PV依存率は冬10%、夏18-20%、通年で14-15%>
- 照明の90%はLED化を完了
負荷の傾向
- 冬も冷房負荷が発生する棟がある
- 工場稼働パターンは、24H操業
- Dシフト8h-17h 約200人が従事
- Nシフト20h-5h 約100人が従事
- 給湯負荷は特になし
- 工場内は通年20℃50%で、加湿は水スプレー方式を採用
- 熱回収は取り組んでいない
- コンプレッサー
- 換気システム
トラブル事例
- 天井付近の結露で天井材にシミが付き、天井裏の断熱材を交換した事例がある。
- 天井と室内の温度差を無くすため、天井点検口を開けたままにしている箇所が数箇所ある。
相談対応策
①空調設備の稼働率削減と加熱設備の放熱対策。
- 建物の断熱・気密はランニングコストに大きく関わっている。サーモカメラなどの装備を入手して、日々の巡回時に熱の漏れている箇所、熱が侵入してくる箇所を特定して対策をすることが重要。
- 天井面の暖気の流入がある箇所は、冷気の侵入場所にもなっているため対策が必要。
- 加熱設備の断熱不足は加熱負荷を増やすだけでなく、冷房負荷も増やしている。更にその熱はそのまま外気に捨てているので、断熱ブーツを履かせ加熱負荷を減らす。
②電気代等エネルギーコストの上昇は製造原価に直結しており、エネルギーコストが安くなる方法を模索している。
- ランニングコストを抑えるために、①に掲げた項目を対策する。
- コンプレッサーで生成される圧縮空気はエネルギーの化身である。漏れの発見は難易度が高いが、可視化カメラの出現で可能になった。可視化カメラのリース又は購入で、日々の点検ルーチンに組み込むことを推奨する。
- コンプレッサー室(コンプレッサー)の排熱は回収できると安定した温熱源になる。集中換気システムなどを導入する場合、給気の余熱熱源として利用できる。加湿器メーカーに要相談であるが、コンプレッサーの熱回収で温水を生成、温水スプレーで加湿ができると省エネが期待できる。
- 生産環境を25℃50%で維持し、生産効率を上げている。加熱・冷却・加湿・除湿に、大きなエネルギーを使っており、新鮮な空気の導入分は排気している。これを熱回収して空調エネルギーの削減を推奨する。集中化することで外気冷房(冬場)の可能性も出てくる。
③空調にLPG(GAS)GHPを使用中で、故障等メンテナンス対応に手間がかかる。タイミングを見て電動ヒートポンプ化を検討中。
- 電動ヒートポンプ化はPVと相性がとても良く、カーボンニュートラルに貢献できるので推奨する。
