【相談事例】介護や身体機能の低下に配慮した”寒くない家”

相談事例(市民)
岩手県M市に住むSさんの、突然の病をきっかけに築27年の家を改築した事例です。
相談者 | Sさん(市民・築27年の戸建住宅) |
相談内容 | 病気入院をきっかけに将来のことを考え「とにかく寒くない家」に改築したい。 |
改善ポイント | 「家中を18℃以下の環境にならないよう」断熱・機密性能の向上、低温水暖房など温熱環境の改善のための設備導入を行う。 |
改善後の感想 | 退院してからの新しい住まいでの生活は快適で、風邪も引かずに元気で暮らせている。 |
「将来、介護や思うように体が動かせなくなった時を思うと、とにかく寒くない家をお願いします」というSさん。その要望に対してのエネルギーアドバイスで、以下のような改築内容が実施されました。
ヒートショックや感染病予防に配慮した暖房計画
寒さの侵入しやすい、玄関や窓ガラスの下にパネルヒーターを設置。低温水を循環させ連続運転することで、風や音の無い穏やかな室内環境に。家中を18℃以下にしない暖房計画により、ヒートショックや低体温予防にも配慮しました。

換気には第3種換気を採用。外気を直接給気するため、パネルヒーター上部に給気口を配置し外気を暖めてから部屋中に行き渡らせています。
音環境を整え、静養と安眠を促す
音の環境面でも快適に過ごせるよう、寝室から離れた玄関脇に機械室を設けました。機械室の壁は、遮音効果を高めるために石膏ボードが二重に貼られました。
また、換気装置や給湯ボイラー、ヒートポンプ熱交換ユニットの壁固定は、防振と共鳴に配慮されています。さらに、無垢の床材からの反射音を吸収するため、天井には吸音素材が取り付けられています。
年間の光熱費用が年金生活者でも支払い可能レベルに
退職後の改築であったこともあり、年間の高熱費用を年金生活者でも支払い可能なレベルに留めることが目標の一つでもありました。住宅の省エネ化と高効率設備をを導入し、設備設計の最適化が進められました。
住宅の省エネ性能については、Q値=1.3W/㎡K、C値=0.5c㎡/㎡という性能値を実現。これは、北海道の寒さにも対応できるレベルの高性能な断熱・気密性能です。一般的な新築住宅よりもずっと快適で、省エネ効果も非常に高い住宅になっています。
<具体的な設備仕様>
暖房 | 電動ヒートポンプとパネルヒーターによる低温水暖房(通常送水温度36℃、夜間同25℃)の連続運転 |
給湯 | 灯油燃料、潜熱回収型高効率ボイラー(エコフィール) |
換気 | 第3種(フィルターメンテナンスが最小労力になるよう配慮) |
